第37章 真実
俺の手から銃を奪って紫乃さんを撃った天童を見た。
「…今の若利君はらしくない。あんな女のために、若利君のプライドを傷つけられるなんて俺は耐えられないんだよ。」
笑みは浮かべてはいるものの、銃を向けるその手はまっすぐで微塵も恐怖を感じていなかった。
向け終わったその手は、俺の方に渡された
「はい、手柄は若利君にあげる」
いらない・・・そう言うことができなかった
これを受け取らなければ・・・俺は・・・
「大丈夫…だよ、若利…あたしは…大丈夫…。どうせ、あのクソ爺に殺せ…って言われたん、でしょ?…だったら、もうす…、ぐ白鳥沢のトップに…ッ立てるんだよ…だからお願い、貴方は…貴方が正しい白鳥沢をつくって…」
「…分かりました」
俺の返事に、天童はひどく驚いていたが、でもすぐにニコニコと笑顔を振りまく。天童はどんな理由であっても俺にトップに立ってほしいみたいだ
俺は、紫乃さんの願いならばとそれを受け入れた
「紫乃さん!大丈…ッ!?」
施設の子供たちが来た
皆、紫乃さんが撃たれたことに驚いていた。そして、綺麗な男は俺を怒りの目に見ていた
「お前が・・・やったのか?」
綺麗な顔の男・・・仲間の男からトオルと呼ばれていた男だ
その男は、今にも俺に掴み掛りそうで凶暴そうだった
「お前がやったのかって聞いてんだよ!!」
「トオル!!」
トオルという男を止めたのは、紫乃さんだった。
ピンク髪の男に支えられて紫乃さんは苦しそうにしていた
「言ったでしょ…恨まないでって…」
紫乃さんがそう言って俺達とトオルという男を交互に見た。俺は無意識に銃を持つ手が震えてしまっていた
「…行きなさい」
紫乃さんが俺達にそう言った。トオルという男は待てと言って俺達を引き留めていたが、俺は・・・その場を去ってしまった
紫乃さんが咳き込む声が聞こえたけど、振り返らずに外に出た