第37章 真実
「紫乃さんの家族だ。紫乃さんを傷つける奴は、俺達が許さない」
綺麗な顔の男が、俺たちに言い放った。それを皮切りにほかの奴も出てきた3人も紫乃さんの隣に立つ
みんな紫乃さんが助けた孤児だろう、強い表情のまま俺達ににらみを利かす
俺の後ろにいた天童はとても楽しそうだった
すると、俺は綺麗な面持ちの男と目が合った
俺のことを毛嫌いしているような・・・まぁ仕方がないか
「…あたしたちは、あんたのとこになんか負けないから。さっさと帰れ!!」
紫乃さんがそう言い放った。鷲匠総帥はため息を1つついて出直すと言って紫乃さんに背中を向けた
「紫乃、これで終わると思うなよ」
総帥がそういうと、俺のそばに寄ってきて小さくつぶやいた
「若利、――――――紫乃を殺せ」
誰にも聞こえてないようで、総帥の傘下の大人達は素知らぬ顔で施設を後にした。残された俺は、総帥に初めて銃を渡された。
以前聞いたことがあった。
総帥が銃を託すということは、その仕事次第で昇格が約束されることを意味していた
つまり、彼女を殺せば俺は白鳥沢の1番になるきっかけになる。でも、殺せなければ俺は白鳥沢から追放されて最悪殺されるかもしれない・・・でも、紫乃さんを殺すことはできなかった
「さぁ、行くよ若利君!!」
総帥の言葉を盗み聞いていた天童が、玄関ではなく施設の庭先から侵入しようと言い出した。
俺は、紫乃さんを殺さないことにした。
なんとか、逃げてくれと・・・交渉するつもりだった
「…あぁ、行こう」
そうして天童と窓から紫乃さんの元へ行った