第37章 真実
あの日は、俺と天童も連れて青葉を訪れていた。
俺達から離れて10年近く経っていたからか、紫乃さんは少しやせていた。綺麗だった肌も少しかさつきが見えた
「いい加減にして!!あんた達のところへは戻らないって言ってるでしょ!!!」
紫乃さんが怒っているところを始めてみた。紫乃さんの怒鳴り声を始めて間近で聞いた。
正直、怖くなってしまったが紫乃さんが本気なのも分かった。
「これ以上、あたしたちに構わないでって言ってるのが分かんないの?」
「分かってないのはお前だ、お前の子供はどこだ」
「言わないわよ、あんたたちに言ったらどんなことされるか分かんないし。どうせスラムの子供たちみたいに人身売買とか臓器売買のために使うんでしょ?」
「そんなわけないだろ、白鳥沢のために・・・」
「そもそも白鳥沢のためって何さ。あたしの時みたいにより有能な人種を集めるための餌にする気なんでしょ?」
「…それがお前の仕事だろう。」
「・・・あんたのその考え方が昔から嫌いなんだよ!!いいから帰りやがれ!!」
白鳥沢のためなんて、そんなの嘘だ
ただ、彼女のことを…彼女の子供を使って白鳥沢の利益にするためだ。
ふと、俺と紫乃さんと目が合った。目で、ごめんね・・・とそう言っているようだった。
「そんなことを言うと、お前が抱えているそのガキ共もどうなるか分かってんのか?」
「…ッ!!」
紫乃さんの表情が一気に焦りに変わった。
ガキというのは、紫乃の後ろに見えている子供。俺達と同じくらいの年齢だろう・・・強い面持ちで俺達を見ていた
すると、そのうちの1人一番顔の綺麗な男が近づいてきた
背は俺より低いが、紫乃さんよりはだいぶ高い
「やれるものならやってみなよ」
綺麗な男はそう言った
・・・昔は、俺を抱き上げられるくらいだったが、もう俺が抱き合える立場なのかと、寂しくなった