第37章 真実
*****
俺と紫乃さんは、20年以上前に出会ったんだ。
俺は、5.6歳のころに本当の両親から引き離されて前総帥である鷲匠のもとで白鳥沢の跡目のために教育を受けていた。
鷲匠はあんな人だから、傍から見れば俺への教育方針はかなり厳しいものだっただろう。同じ時期に白鳥沢に引き入れられた天童にも「鍛治君って厳しいね~」と言っていた。
天童は、俺が初めて孤児の回収の時に出会った。天童もまた他の孤児と同じく親がいなくて身寄りもなく臓器売買の標的にされていた者だったが彼の不思議な素質を鷲匠総帥が認め白鳥沢に引き入れられた
それからは、天童はずっと俺と一緒に居た。
教育を受けるのも一緒だった。そのせいか、俺は天童にはいろんなことを話していたかもしれない。話していたというか聞いてきたのだ。本当の両親の話や子供のころの話・・・自分にはなかったからと言い俺に興味を持ち続けていたから俺も話をしていた
そして、紫乃さんのこともよく話していた。
紫乃さんのことは、ここにきてすぐに知った。
鷲匠総帥の実の娘なのに、白鳥沢の方針を嫌う・・・実の娘なのに勝手だと思ってしまった。
でも、彼女は違った。
彼女は・・・優しかった