第37章 真実
「若利君はね、ずっと探してたのにネ。大好きな青城紫乃の娘を探して今度こそ自分の手で守ってあげようとしてただけなのにネ~」
「…それは、白鳥沢の名前のためだろ?」
天童の言葉に及川が反応する。でも天童は始終笑っていた。そしてさらにつづけた
「それもあるけどね~、若利君は死んじゃった彼女のために娘を探してただけ。そして、今度はちゃんと守ろうって決めてたんだもんね。」
「彼女のため…?自分で殺しておいて何勝手なこと言ってんだよ…」
「あっ、そっか~及川君は知らないもんね~」
牛島の肩に触れていた天童が牛島から離れて及川に近づく。彼の怪しい瞳が及川を捕らえているため及川は少し身構える。
「あのね、及川君。ずっと黙ってたんだけど・・・」
―――――――青城紫乃を殺したの、若利君じゃなくて俺ダヨ?
天童から告げられた言葉は、その場にいた全員が聞いていた。
白鳥沢に因縁がある井闥山傘下の大将は「なるほどな…」とどこか納得したような、彼女に恩のあった黒尾は悔しそうな表情を浮かべていた「じゃあ夜琉は…何のために…ッ!!」と
牛島は始終黙っていた。でもさっきとは違いなにか申し訳なさげな・・・
一番は及川だった。
今までずっと大好きな人を殺した牛島に心からの絶望を味合わせて最後には殺してやろうと・・・そしてそのために大好きな人のたった1人の娘をも殺してしまったため、頭が混乱していた。
天童はそんな及川の表情をみて尚楽しそうだった
「なん…で…なんでお前が…」
混乱する頭の中で及川は、天童に真実を聞く
天童はにっこりと微笑んだ。
「…あの女は、若利君に余分な感情を与えたから…邪魔だったんだよね」
「余分な感情…?どういうことだよ…牛島…」
及川がずっと黙る牛島に目をやると、牛島はようやく口を開いた。
「・・・俺と、紫乃さんは・・・」