第36章 決戦
「ウッ…」
ヘビみたいな人が担いできたのは、紛れもない黒尾さんだった。でも黒尾さんは傷だらけで意識はあるけど動かない
『なん…で…』
「だって、夜琉ちゃんを勝手に殺しちゃうのは悪いと思って…だから彼も呼んだのに、クロ君ったら「夜琉に手ェ出すんじゃねえ!!」って怒っちゃってさ…」
及川さんの話を半分くらい聞いてから、あたしは黒尾さんのもとに走る。でも、黒尾さんのそばにいたヘビみたいな人があたしに銃を向けたからあたしは急停止した。
「お前だろ?10年前あいつを庇ったガキ。」
『えっ…ぁ…』
あの時の、おじさん・・・!?
「お前がいなければ、すぐに仕事が片付いたってのに…お前のせいであの人も…」
ヘビさんは今にもあたしを撃ち殺しそうな面持ちだった。あたしは黒尾さんをチラチラ見ながら後退りをする
「…夜琉」
倒れている黒尾さんがあたしを呼んだ。「まだ生きてたか…」ヘビさんが黒尾さんを見下ろしてつぶやいたけどあたしはそんなことは聞こえなかった。
『黒尾さ…あたし、…あの…』
「悪…かっ、た…お前を…守れなくて…」
『・・・ッ!!』
黒尾さんが謝ることなんて何もない。謝らないといけないのはあたしだ。もしちゃんと黒尾さんに話していたら・・・黒尾さんはケガをすることがなかったかもしれないのに
『…あっ…あたしも、ごめんなさい…ちゃん、と…話していれば…』
「話は終わった?」
話の腰を折ったのは、もちろん及川さん
及川さんの声を聞いて振り返ろうとしたらあたしは及川さんに腕を引かれた
「…じゃ、そろそろ…いいよね?」
腕を掴んでいた及川さんはあたしを黒尾さんから離れた方に投げた。