第36章 決戦
チィン…と、お店のよりは軽い音が鳴りエレベーターの扉が開いた。そこには扉だけだった。
及川さんが先に出て、扉を開けるとビル群が目の前に広がってきた。
『わぁ…、屋上こんななんですね。』
「そうだね、俺も久々に来たよ」
あたしが屋上に出て周りを見渡すと、及川さんはあたしに付き添うように歩いてくる
『ここほとんど柵ないじゃないですか!!危ないですよ?』
「…まだ落ちちゃだめだよ?」
『…落ちませんけど、及川さん。なんであたしをそんなに殺したいんですか?』
ようやく確信に入った。あたしは及川さんの方を向きそう言い放った。及川さんはあたしを見て笑顔ではないが真面目な顔をしていた。
「…君は、紫乃さんの娘だし白鳥沢の最後の跡取りだからね。君を殺せば白鳥沢は終わる。だから、君には死んでもらわないといけないの。特にあの、君を求め続けている牛島の目の前でね」
『…それが、紫乃さんの願いに反してもですか?』
「…えっ?」
『岩泉さんに聞きました。紫乃さんは、貴方達に…誰も恨まないでって…しっかり生きてって言われたんですよね?なんでそれを無視してこんなことしてるんですか!!!』
及川さんにそう叫んでしまった。及川さんの顔色がどんどん怖くなっていくのが分かるくらいだった。
「…夜琉ちゃんに質問いい?」
『えっ?』
「正しい道って何だと思う?」
『えっ…?』
この話、岩泉さんの昔話にあった質問と同じだ。紫乃さんが言った正しい道を生きてと言ったけど及川さんはそれが分かんないのかな・・・?
「大好きな人を殺した相手に仕返しもせず生かすこと?大事な人の言う通り素直に生きること?…俺には分からないんだよ。」
『・・・。』
あたしも分かんないけど・・・でも、確信持って言えることがある