第36章 決戦
「何この子?」
「うん、俺の大事な子」
お姉さんに笑いかけて組んでいた腕を解いてあたしに近づいてきた。いつも通りのニコニコの笑顔で
「こんにちは、夜琉ちゃん。今日は制服なんだね~」
『はい、いろいろ考えましたけどこれが一番かと…』
「そっか、俺的には最初にあげたあのドレスで来てほしかったな…」
さらにあたしに近づいてきて、制服の襟の部分に手を伸ばした。その手は制服の中に手を入れた
『えっ…!?』
「…岩ちゃんのネックレスは付けてるんだ…」
人差し指と親指で岩泉さんからもらったネックレスのサファイヤを撫でてつぶやいた。
その直後に「ちょっと!!」という女の人の声。さっき及川さんといたお姉さんだ
「あたしを無視してそんな小娘とイチャイチャしないでよ!!」
小娘て・・・おばさんのくせに
お姉さんはそう言ってまた及川さんの腕にしがみついた。離れたところに居ても分かるくらいキツイ香水を纏ってらっしゃる・・・
「うっせぇよブス、ちょっと優しくしたくらいで調子に乗るな」
「なっ…!?」
『・・・ッ!!』
及川さんが見たことのないくらい怖い顔でお姉さんにそう言った。お姉さんは今にも泣きそうな顔をして及川さんから離れた。
「なっ…何よ!!徹のバカ!!」
お決まりの捨てセリフを吐いたお姉さんは急にあたしの方を向いてさらに一言
「どきなさいよブス!!」
どきなさいって全然邪魔なところに立ってるつもりないですけど・・・。お姉さんは普通肩ドンとかやるかなって思ったのにそれもなくお店から出て行った。
・・・なんだったんだ
「大丈夫か?」
心配して声をかけてくれたのは松川さんだった
でも、はい…と言う前に及川さんが言葉を挟んだ
「じゃあ、そろそろ行こうか」