第34章 月明り
『えっ…』
「黒尾さんに話しちゃえば?その方が早いでしょ」
『あの、話聞いてました?及川さんに話しちゃダメって言われちゃったんですよ?言えるわけないじゃないですか』
「言ったところで別に変わらないでしょ。言わなくてそのままあんたが死ぬ方があの人怒るんじゃないの?」
『ん゛・・・』
確かにそれはあるけど、でも黒尾さんは危険な目にあってほしくないしでも話はしないとだけど・・・
「君相当あの人を信用してないんだね。」
『そんなことないです!!黒尾さんのことは…えっと//// と、とにかくあたしは別に黒尾さんを信用してないとかはないです。ただ心配かけたくないし…危ない目にもあってほしくないっていうか…』
「はぁ…だからそれを信用してないって言ってんの!!」
月島さんは急にあたしの鼻をつまんだ。
あたしは『ふがっ!!』って変な声がした。
「あのさ、あんた黒尾さんの恋人なんでしょ?一応。だったら頼んなよ、信じなよ。あの人そんなやわじゃないの分かってるでしょ?」
『・・・ん』
「ならさ、ちょっとくらい頼ってもいいんじゃないの?あぁ、それとも何?『あの人ホントは弱いからな~』とか思ってるんじゃないの?」
思ってません・・・なんて胸を張って言えなかった。ちょっと心配しちゃってたとこがあった。あの人実は弱いとこあるし、頭に血が上ると何するか分かんないっていうか・・・
「あの人なら大丈夫だと思うよ。死ぬ前にちゃんと話しなよ」
『・・・ゴニョゴニョ』
「はぁ!?」
『分かりましたって言ったんです!!』
「いや絶対言ってないよね?あっ、あとその限定の奴560円だから。」
『おごってくれるんじゃないんですか!?ケチ島さ…いや月島さん!!!』
「…今日はいいよ。だから…、」
月島さんは鼻をつまんでいた手を滑らせてあたしの頬に触れた。
「今度とびきりおいしいケーキおごらせるから」
今度・・・えっ?