第33章 大王様と穢れ
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「ん…、」
俺が気が付いた時、周りはだいぶ静かになっていた
及川さんと影山の姿もない、夜琉は・・・!?
「夜琉?!」
俺は身体を起こしてあたりを見渡す。
俺の近くに男の遺体が3体転がっていた。見事に3体とも頭部を一発撃たれて即死ってとこか。撃たれた方向からすると・・・俺達の座っていたベンチだということはすぐに気づいた。
それに、その近くに俺が上げたブッサイクな猫のぬいぐるみが転がっていた。
俺はゆっくり立ち上がってベンチ方へ行く。
雰囲気でなんとなく分かってたけど、ベンチの上は予想以上の惨事だった。
金田一が言っていた。彼女の浴衣はMotherの特注で友達も一緒に作ってもらったって。そのMother特注の白い浴衣もボロボロで足と胸元は淫らに開かれて、腕には強く握られたみたいな痣がついていた
「・・・夜琉」
そっと彼女の名を呼んだ。意識はあるみたいでゆっくり視線をこっちに向けた。その目は弱々しくいつものようなまぶしいくらいの光がない
「…帰るぞ」
ベンチの上で力なく横たわっている夜琉の腕を強引に引いて起こす。すると、彼女の足の隙間から白濁の液体が溢れた。
マジかよ・・・あの妖怪
「…今、お前の彼氏に連絡してやるから」
『・・・ッ!!!やめて!!!!』
静かだった夜琉が急に声を張り上げてスマホを手にしていた俺の手を握った。こいつ・・・震えていやがる