第33章 大王様と穢れ
身体がビクッと跳ねた。友達ということは、もちろん華夜。でもそれだけじゃないかもしれない。日向やそれ以外の人達も・・・
「…これは、俺と夜琉ちゃんの問題だよ。来てくれるよね?」
『…うっ』
「ん?」
戦時中の人達ってこんな気持ちだったのかな
死ぬことが分かっているのに御国のために戦わないといけないときの感じって
でも、きっとそれは家族や大事な人のため
戦争をこれ以上起こさせないための・・・自分の力で戦争が終わるならっていう気持ちが原動力になったことだろう
現に今あたしは、そんな気持ちになった
『売られた喧嘩は…買いますよ…』
「…ふふ、ありがと」
そう言って微笑んだ及川さんはあたしの手を掴み掌にキスをした。たしか、掌のキスの意味は・・・懇願?そんなに来てほしいみたい・・・
『…及川さん、なんで明後日なんですか?』
「…来たら教えてあげる。あと夜琉ちゃん。この事は誰にも言っちゃダメだよ?俺と夜琉ちゃんだけの秘密」
今度は頭をポンポンされた。
そして及川さんはそのままUターンして公園の暗がりの中に消えていった。影山さんもそのあとを追っていくが、ふと立ち止まってあたしを見た。あたしも影山さんをじっと見るが、影山さんはすぐにそっぽを向いて及川さんと共に行ってしまった。
2人を見送ってすぐ、あたしは国見さんに駆け寄る
『国見さん!!』
「………ぅッ……」
横たわる国見さんの口からかすかな呻き声が聞こえたからあたしは安心して黒尾さんに連絡しようとした。
でも、あたしの敵はまだいた
「だめだよォ~、俺がまだ相手してもらえてないじゃん」
連絡しようとしたスマホを取り上げられたと思ったら、あたしの身体は宙に浮いた。しゃがみ込んだあたしを抱きかかえてどこかにゆっくり運ぶ天童さん。
運ばれたのはさっきあたし達が座っていたベンチの上。その上に乗せられたと思ったら、今度はドンと身体を押されてベンチの上に横たわる形になった
「及川君にね~、殺さなければ何してもいいって言われたんだ。…君は、元風俗嬢デショ?…なら、いいヨネ?ヤっても」
天童のその笑顔を見た瞬間、あたしはあの時の楽しそうな天童さんと重なってしまった