第33章 大王様と穢れ
『国見さん!!』
「おっとっと~ダメだよォ。夜琉ちゃんは、こっち~」
国見さんのもとに行こうとしたが、天童さんは国見さんの方じゃなくて及川さんの方にあたしを押した。
押されてバランスを崩したあたしを、及川さんが受け止めた。顔を上げるとすっごい笑ってるよ及川さん・・・
「なんか、夜琉ちゃんに触れるのって久しぶりだね。ちょっと太った?」
『はぁ!?』
「ハハハ冗談だよ、相変わらず可愛いし…紫乃さんによく似てる」
最初は腕や肩を触っていた及川さんの手があたしのほっぺに触れた。及川さんは目を細くしてあたしを見ていた
「…そんなに睨まないで。今は何もしないから」
『い…今は?』
「うん。夜琉ちゃん、明後日の午後3時空いてるかな?」
『3時…ですか?』
及川さんが言うには、明後日の火曜日の午後3時にロイヤルサファイヤの屋上に来てと言う。なぜ明日ではなく明後日なのか、よくわかんないけど・・・
「そ、3時。そこで、最後の話をしよう」
『・・・ッ!!最後の話ってことは、そこであたしを殺すんですか?』
「…まぁそーだね」
笑顔でとんでもないこと言ったよこの人!!
明後日君を殺すからここに来てねって言われてるってことですよね!?
『いっ…行かないという選択肢は…』
「あると思う?」
デスヨネー・・・
「…来ないなら、君の大事な人達がどうなるか分かる?」
なかなかハイと言わないあたしを見かねた及川さんがそんなことを言う。その視線の先には国見さんが・・・
『くっ…国見さんは、貴方の大事な仲間ですよね?』
「うん、だから俺は殺したくないの。…いうこと聞いてくれるよね?」
頬に触れていた手が今度はあたしの顎を掴んで最後の警告をした
「…来なかったら、お前の大好きな友達から殺すからな」