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いい子悪い子、愛しい子 《ハイキュー!!》

第33章 大王様と穢れ





*****


『はぁ…、はぁ…』


浴衣で走るのって思ったより疲れるし走りにくい。
背中から銃声みたいなのが聞こえるけど、それでもあたしは走り続けた。


祭りが始まる前に国見さんに言われていた
「もし何かあったら、迷わず逃げろ。そのあとは…俺が何とかしてやる」って言われたから

逃げろなんて言われても・・・どこに行けばいいんだろ・・・


『…あっ、そうだ。黒尾さんに連絡しないと!!』


浴衣に合わせたかごバックに入れていたスマホを開いてメールを打とうとした

暗がりでスマホの画面の明かりがよく目立っていた
だから、そんな明かりには何かしら寄ってくるものだ






















「夜琉ちゃん見ぃ~つけた♡」



カサッ…
背後で草が揺れた音と共に聞き覚えのある声が聞こえた。

スマホを持つ手が思わず震えだす。
振り返ることすら怖くてできない・・・


『…はぁ…はぁ…はぁ』


走っていないのに息が上がって仕方がない


「こォんなとこで…何してんのォ?」


『…はぁ…、てっ…天童さ…』


「…久しぶりィ」


動かない身体を強引に動かして後ろを向くと、暗がりでも分かる赤く逆立った髪が目に入る。

この人がここにいるってことは、当然及川さんに言われてあたしを追ってきたか、あたしがこういうことをするってわかってたかどっちかだろう


「俺がいるってことはさ、どうすればいいか分かるよね?」


ニッコリと笑っているが、その手に持ってるのは彼愛用のダガーナイフ。

それを見た瞬間、無意識に右肩が痛くなった。
左手で肩を擦り右手に持ったスマホをそっと通話モードにしながら後ずさりをする



黒尾さんに連絡するために



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