第32章 大火と飴と・・・
「お前、それマジでやってんの?」
『いっ…一応マジです…』
4発まで撃ったけど・・・当たるどころか、まったく違う方向に撃ってしまう・・・。あたしってここまで不器用だったっけ?
「はぁ…逆にそこまで当たらねえって、ある意味才能だよな」
普段あんまり表情を顔に出さない国見さんがすごい分かりやすく笑っている。すると、国見さんはあたしの後ろに立って手を包むように触れてから持っていた鉄砲を取った
「仕方ないから…、手本見せてやる」
そういうと、国見さんの目つきが変わった。
台の上に肘をついて、一番上の段の一番中心に君臨しているブサネコに狙いを定める。忘れていたわけじゃないけど、彼は本物のスナイパーだったっけ・・・
パァン!!!
『わぁ!!』
国見さんが放った最後の1発は見事にブサネコの眉間を射抜きブサネコは台の後ろに落ちた。
「おっ!!兄ちゃんすげえな!!」
『さすが国見さん!!ありがとうございます!!』
「…まぁ、お前は殺せなかったがな…」
あたしにしか聞こえない声で国見さんは囁いたが、顔に押し当てられたブサネコを受け取ってから国見さんを見るといつもより穏やかな顔をしていた。