第32章 大火と飴と・・・
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そして、日曜日
「こんにちは!!」
『こんにちは。』
約束通り4時にお店に来ると、菅原さんと夜久さんともう1人知らないお兄さんがいた。
「彼は縁下力。6階のアクセフロア担当でメイクとヘアアレンジもできるのよ」
菅原さんが紹介してくれた縁下さんはどこか頼りなさそうだけど、優しそうな雰囲気のお兄さんだった。よろしくね。と軽く会釈をされたからあたしと華夜もよろしくお願いしますと頭を下げた。
「じゃあ、まず夜琉ちゃんがヘアアレンジからで、華夜ちゃんはあたしがメイクしてあげる♡」
そう言ってあたし達は別々のフィッティングルームに通された。まぁフィッティングルームと言っても個室みたいな感じのところ
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「はーい、2人とも完成よ♡」
準備開始から1時間半ちょっと。
あたし達は互いの姿を見て感動した。
「ちょっとちょっと!!夜琉可愛い~♡」
『そういうあんたも、いつもより大人っぽくて可愛いよ///』
なかなか褒めるってことをしないからあたしはちょっと恥ずかしかったけど、それが素直な答え。
すると、後ろからパシャッ…っていう音がした。
見るとニコニコしながらあたし達を見ている菅原さんの横で夜久さんが写メを撮っていた
『や…夜久さん?』
「黒尾が送れってうるせえから」
やっぱりか…あの変態トサカ野郎…
黒尾さんは今日は月島さんのドラマ撮影らしくてずっとそっちに付き添っているから、あたしの浴衣姿は見れないって泣いてたっけ
「さて、そろそろ行ってらっしゃい。山口に車用意させてるから」
菅原さんがそういってエレベーターを開けてくれた。浴衣で足元が制限されているが、華夜が足早にエレベーターに向かうからあたしもそれについて早足で向かった。
『じゃあありがとうございました。』
「うん、じゃあ夜琉ちゃん…」
――――――気を付けてね
その最後の言葉は、あたしの耳にしっかり届いていた。
どういう意味かは分からなかったけど・・・ちょっと嫌な予感がした。