第32章 大火と飴と・・・
『・・・。』
「ほら、そんな顔しないの!!」
きっとあたしはシュンとした顔をしたのだろう。
菅原さんはあたしのホッペを両手で包むようにして顔を上げる
「女の子は笑顔笑顔!!」
『は…ふぁい…』
「女の子は甘えも大事よ?」
菅原さんのふわりとした優しい笑顔にあたしも無意識にフワッと笑う。それを見た菅原さんはまた仕切り直してペンをとった
「白とピンク中心の水仙とバラの奴ね。よし、じゃあ明日までに作っとくから夜琉ちゃんも華夜ちゃんと一緒に4時に来てね。ついでにメイクもしてあげるから」
『ありがとうございます!!』
「はーい、じゃあ今日はもいいよ♪黒尾が下で待ってると思うから急いで行ってあげな。ちゃんと素直にいろいろ言ってあげなネ✨」
菅原さんのウインクをもらいつつあたしは頭を下げて社長室を出た。
「ふぅ…これで、少しはやりやすくなったかな。」
*****
1階のフロントに行くけど、黒尾さんはいなかった。フロントマンの茂庭さんに話を聞いて、黒尾さんがいると言っていたフロアに行く。そのフロアは・・・
『黒尾さん!!』
「よぉ、終わったか?」
よぉ、じゃなくて・・・
『なんでランジェリーフロアにいるんですか?!』
「いや、お前に新しい下着着てもらおうかと…」
なんて言っている黒尾さんが持っているものは、ピンクのシースルーのベビードールと黒いオープンバストのブラセット
どちらも下着としての意味をなさないんじゃないかくらいの薄さだし・・・すごいセクシー極まりない。
かなり長くいるみたいで、中島さんはニコニコしている
『いや、買ってもしませんからね。あたし帰ります』
「あっ!!テメエ勝手に帰んな!!猛君ごめんまた来る!!」
黒尾さんが焦って追いかけてくるのと中島さんがありがとうございました~というのを背中に感じながらあたしは笑顔でエレベーターの扉を閉めた