第31章 黒猫の説教と極悪妖怪
「…愛は…、」
「愛とは誰かを好きになることぉ?誰かを1番に考えることぉ?その相手のためになんでもすることぉ~?」
・・・違う、愛は・・・人をダメにする邪魔な感情ダヨ
「・・・・ッ!!!」
口調と態度こそいつもと変わらぬ天童だったが、その表情は殺意と怒りに満ちていた。
そのあまりの恐怖感に川西も思わず悪寒が走った。
「そぉそぉ…、邪魔なんだよ…愛なんて。」
そんな感情で彼を惑わせないでよ―――――
小さな声でつぶやいたから、川西には聞こえなかった。
若利君にそんな感情を与えてしまったから、彼が壊れてしまいそうになった・・・、そして、その娘にまた壊されてしまう・・・
「俺が消してあげるんだよ、若利君に害のあるあの女の子供を…」
「…させません」
怒りの感情が高ぶり人を傷つけるときの表情に変わった天童に喝を入れた川西。
愛は邪魔な感情・・・そんなのは彼自身も思っている。彼自身もまた、愛に人生を邪魔された者の1人だから
でも、今は・・・
「牛島さんがその愛を求めているのなら…、俺はそれに従うだけです。」
「…太一ぃ~…本気で言ってるの?」
「…はい」
「そっかぁ~…じゃ仕方ないか」
天童の表情がいつもと同じヘラヘラとした感じに戻った。
でも、天童はそんな表情とは不釣り合いなものを手にした。
「なら太一…、お前もそのくだらない感情のために…消えて?」