第5章 ダンサーのお悩み
「本当に申し訳ありませんでした!!」
深々と頭を下げるのは、かなり美人な女の人
この人がJOUZENJIのマネージャーで、ユージさんの好きな人
ユージさんはなんとかギリギリのところでリバースを免れ今は爆睡中。メンバーのカズマさんに担がれて車に乗ろうとしていた
『あの…ユージさんって炭酸で酔う人なんですか?』
「あっ、はい…。打ち上げでも勝手に飲んで勝手に酔っちゃうんですよ。しかもその時の記憶がないからまた飲むんですよ…」
『あぁ…ご苦労様です』
「でもみんな、あえて炭酸飲ませて本音を聞いてやってるんですよね。」
『えっ、どーしてですか?』
「あいつ、炭酸飲んで酔うと普段隠してる本音を全部漏らすんですよね。」
そうか、じゃあさっきのあれは全部本音なんだ
あんな感じの人だけど、本当は謙虚ないい人なんだ
「じゃあ、失礼します。」
『あっ、マネージャーさん!』
華さんも車に乗って帰ろうとした
そこをあたしは思わず引き留めていた
『あの、ユージさんに伝えてください。あたし…、ユージさんのこと応援してますって』
「・・・ありがとうございます。」
と、一言笑顔で返してくれた華さんにあたしはユージさんが好きになる理由が分かった気がした
車に乗った華さんは、窓越しでもあたしに頭を下げてくれた
そして、横でカズマさんに寄りかかって寝ているユージさんを怒っているように見えた
あたしは、そんな姿をほほえましく見送った