第5章 ダンサーのお悩み
「おい・・・何客を30分で返してんだよ」
と、あたしのこの心境を丸無視して低い声でお怒りになられているのは他でもない我がオーナー
そう、あたしは思わずユージさんを返してしまって売り上げ的には大赤字だった
だからあたしは、松川さんに頭上20センチの高さから睨まれてた
『いや…だって、吐きかけてる客返してもいいじゃないっすか…』
「そこはお前が何とかしろよ」
と、頭を掴まれてホテル内へUターン
あぁ・・・これからお説教です・・・
「ちわっす~」
「おう、花。お疲れ」
「お疲れ~って、夜琉ちゃん何してんの?」
「30分で何もせずに客返したから説教中」
『かれこれ1時間ほどこの状況です・・・』
と、本社室のソファの前に正座させられているあたしは、ソファに座る松川さんからお説教を食らっていた
花巻さんは、いつもながら非番になって本社室に戻ってきたみたい
「へぇ~、じゃあ今夜琉暇なの?」
『まぁ…説教中ですけど…』
「ならさ、俺が今からお前買うわ」
と、松川さんの隣に座って足を組んであたしを見下ろした
そして着ていたジャケットの内ポケットからカードを取り出して松川さんに渡す
「夜琉っていくらなん?」
「1時間10万です」
『じっ…!!??』
初めて聞いた自分の値段に驚き以外何物でもなかった
あの部屋ってそんなにするの・・・?!
「ん、十分。じゃあ夜琉、行こうか」
と、正座をしているあたしを立たせて花巻さんはエレベーターに向かう
『あの、花巻さん?』
「夜琉、忘れたわけじゃねえよな?」
と、エレベーターに乗る前に花巻さんは急に立ち止まって声をかけてきた
そして、ゆっくり振り返って不敵な笑みであたしを見つめた
「俺言ったよな、終わりだと思うなよって」