第31章 黒猫の説教と極悪妖怪
「おいチビちゃん。まだ撮影残ってんだろ?」
「えぇ~、夜琉ちゃんといたい~」
「ダメだ、夜琉は今から俺が連れて帰るから。お前はさっさと戻れ」
あたしをギュってしたまま日向が頬を膨らませる。でもすぐにシュンとしてからあたしの顔を見た。
「夜琉ちゃん、今度遊びにいこ?」
『えっ…?』
「絶対!!俺一回でいいから夜琉ちゃんと遊びに行きたいの!!いい?」
俺モードだ。
日向は〈アタシモード〉の時は可愛げがあって愛され天然キャラだけど、〈俺モード〉は素の態度で思ったことははっきりと口にする素直でまっすぐな性格だ。
俺モードの時の日向ってすごい食らいついてくるしまっすぐ見てくるから逃げられなくなるんだよね・・・
『…うん、いいよ。あたし明日から夏休みだから基本いつでも暇だし』
「ホント!?やったー!!俺さ、ディズ〇ーランド行きたい!!」
『あ、あたしも!!』
こんな風に、日向とはすぐに楽し会話に発展する。黒尾さんに怒られていたことなんて忘れてしまうくらいに。
でも、そう簡単には逃れられなかった。
特に・・・日向セコ〇からは・・・
「ちょっと、撮影だって言ってるデショ」
「ぬぁ?!あっ、月島!!」
月島さんが現れてしまったらあたしの負けは決まる。日向はなんだかんだ月島さんが大好きみたいだから。
「月島~俺もう疲れた~」
「あと1回で終わるから早く着替えて来な。」
俺次の服嫌い~なんていう日向は月島さんに肩を抱かれてスタジオから出て行った。でも、出て行く瞬間に月島さんがあたしを見た。
声は聞こえなかったけど、口パクであたしに言った
「…僕のだから」
と。
・・・大丈夫です月島さん。
奪える気が1ミリもしませんので・・・