第30章 白鷲の交渉
「…どうしてそんなことを聞くんだ」
『いや…なんとなくです。もし違うなら、及川さんを説得できるかもって思っただけです。』
「・・・。」
白布さんは少し悩んだ感じだったけど、すぐに口を開いた。
「悪いが、それは牛島さんに直接聞いてくれ。紫乃さんの話は白鳥沢ではタブーなんだ。」
何か知っていそうだけど、白布さんはそれ以上は語らなかった。代わりにまたスマホを確認して、今度は残っていたカップの軟化のコーヒーを飲みほした。
「…じゃあ行くぞ」
『えっ…どこに?』
「白鳥沢だ。当然だろ」
なんで?!
そりゃいろいろ聞きたいってのはあるけども!!行ったら行ったでなんかやばそうだし…!!!
『いやッ!!あたし帰ります!!』
「ダメだ。俺は今日は交渉といったが、根本はお前を連れ戻すことだ。」
『連れ戻すってあたしは別に逃げた訳じゃありません!!あそこにいる理由があたしにないだけです!!』
「こっちにあるんだよ。ほら、行くぞ」
『行きません!!!』
有名コーヒーショップにて繰り広げられている傍から見れば痴話喧嘩を繰り広げちゃってるけどそんなのお構いなしに「さっさと来い!!」『嫌です!!』なんて言い合っちゃってる
「お前、牛島さんのこと聞きてえんだろ!?だったら大人しくついて来い!!」
『嫌です!!』
ついに腕を掴まれちゃったから逃げられないからどうしたらいいか分からなかった。
「いいから!!」
「おい、女の子に乱暴するなよ」
急に違う人の声がしたと思ったら、あたしの掴まれてない方の腕が誰かに捕まれた。
「…なんでテメエがいるんだよ…京治」