第29章 大事な人
病院内にあるカフェテリアで2人でご飯を食べながら話す。黒尾さんはお仕事があるからって言って事務所に行った。帰りは絶対タクシーに乗れと言われている。
華夜は金田一さんにあたしのことはほぼ聞いたみたいだった。
青城紫乃さんのことや、及川さんとの関係。あたしが今まで何をしていたか・・・って、そこまで話しちゃって逆にいいのかと思うくらいに金田一さんに聞いたみたい
「…あと、この前のお兄さん達のことも」
『えっ、そんなことも聞いたの?』
「うん、夜琉知らないの?」
『うん…』
あたしが聞くのが怖かったからだというのもあったのだろうけど、松川さんが意図的に話さなかったからということもあるかもしれない
「…あの人達みんな組織が違うみたいなの。その及川さんと蛇さんと赤い人。特に蛇の人は危ないって。前解体した井闥山の傘下なんだって」
『いっ、井闥山!?』
大きな声で病院内に響いてしまったあたしの声、車いすに乗る人や松葉杖をつく人など、みんながあたし達の方を見た。ほぼあたしのせいだけど
「夜琉ちょっとうるさいよ…。それでね、井闥山って白鳥沢の牛島さんに負けて首領さんは刑務所にいるって…」
『それは知ってるけど…。そうか、だから及川さんは牛島さんを恨んでいる井闥山の傘下と手を組んであたしを殺しやすくしたってことか…』
「そうかもね…、でもひどいよね!!高校生の女の子に大人達が!!」
プリプリと怒る華夜は飲んでいたオレンジジュースの入ったグラスをダンッ!!とテーブルに叩きつけて怒っていた。
『ごめんね華夜、あたしのせいで…』
「だからもういいって!!」
華夜はあたしの頭をぐしゃぐしゃにするくらい撫でまわした。そしていつもの満面の笑み。それ見ると、今まではあんまり思わなかったけど、安心するな~