第29章 大事な人
『あっ…』
結局気づかれて、あたしは華夜を見る。華夜は少し足を引きずりながらあたしに近づいてきた。昨日ケガをした足がまだ痛いはずなのに・・・
あたしもゆっくり華夜に近づく。目の前に着たらすぐに謝ろう・・・そう思いながら彼女に近づいていく
華夜が目の前に来た時、あたしは言葉を濁した。謝って済む話じゃないのは分かってるし・・・
『あっ…あの、華夜…あたしッ!!?』
華夜に謝ろうとした瞬間視界が揺れて何かに包まれた。それは華夜の腕だった。
「よかった…、夜琉ッ…無事だった!!!」
『・・・ッ!!』
華夜は、あたしを恨んでいなかった。それどころか、心配までしてくれていた。あたしをギュッとして泣きながらよかったッ…よかったと泣いてくれている
「ごめ…私…ッ何も知らないで…うぅ…夜琉…!!」
『…あっ、あたしこそッ…華夜を危ない目に合わせてッ、ごめっ…ごッ…うぇ…』
あたしと華夜は2人で抱き合いながら病院の待合室で大泣きしてしまった。華夜のお父さんとお母さんはあたしと一緒にいた黒尾さんに挨拶をしていた。
「ねぇ、パパママ!私夜琉と話したいことがあるから先帰ってて!!」
それだけご両親に伝えた華夜はあたしの腕を掴んでどこかへ連れて行った。
『華夜、どこ行くの?』
「カフェ!昨日金田一さんにいろいろ聞いたの!それ教えてあげる!!」
華夜は金田一さんに家まで送ってもらったみたいだけど、その時にいろいろ聞いたみたい。あたしのこととか・・・青城のこと。
あたしを狙う及川さんのこと