第28章 黒猫と初恋
「・・・。」
さっきまで真っ赤だったのに、急にまじめな顔になってしまった黒尾さん。でもすぐにベッドの上で正座していたあたしを抱き寄せた。黒尾さんはベッドのふちに座ってたからあたしは黒尾さんの足に膝枕する形になった。
『黒尾さん?』
「お前、ホントバカだな。」
『はい!?』
「バカで…、可愛くて…、いい子だな」
膝上に置かれたあたしの頭を愛おしそうに撫でる黒尾さんを見ると、ホントに可愛いものを見るような・・・それこそ、愛猫たちを見ている時のような・・・
『…あの、あたし…いい子じゃないです』
「ん…?」
そう、あたしはいい子じゃない。学校でもいい子と言うかサバサバ感を全面に出してでもめんどくさいから頼まれ事は断らないし相談されれば返している。それがいい子ってことになってるみたい。
この世界でも、大人達に素直に受け答えしてたらいい子ってことになってるし・・・
でも、ホントのあたしは・・・
『…あたしは、わがままなだけです』
「・・・?」
『だって、あんなことあってもみんなと仲良くしたいとか思っちゃってるし…及川さんや岩泉さんにもお世話になったし…』
黒尾さんの膝の上で丸くなって太ももとお腹の間に顔を埋めて言葉を濁す。
・・・何かが頭に当たった
『黒尾さん、もうやりませんよ』
「夜琉ちゃん…ワンモア…」
『無理』
この人、ホントに27歳か疑うくらい絶倫てどんなよ・・・
さっき何回やったと思ってんのさ・・・