第26章 黒猫の戦う意味
木兎の家・・・というか屋敷という方が正しいか・・・そこに着いてからは早かった。
車を降ろされた俺は、木兎の親父さんに連れられて屋敷に入った。木兎は執事のおっさんに連れていかれた。学校の課題ができてないとか話してたけど・・・
木兎の親父さんに連れられてやってきたのは、おそらく社長様の書斎。執事やボデイガード達もそこまでは入ってこなかった。俺と親父さんの2人きり。
「黒尾君、まずは君のことを教えてくれ。本当は何歳でなぜあのオークション会場にいたのか…」
研磨の言ったことは正しかった。最初こそ情報は必要ないけど後から雇われた人間には所在を話さないといけなくなる。そこで嘘をつこうものならクビにされて最悪社会復帰が不可能になることがあるらしいから、俺はすべて話した。
父親が軍人だと・・・俺自身の歪んだ感情・・・人殺しができそうなあのオークションに参加して俺の曲がった感情を発散させようとしたこと・・・すべてを
「そうか…やはり光太郎の目の力は本物のようだな」
「・・・?」
社長は書斎にある椅子に腰かけて机の上で両手を組んで俺を見た。ため息を1つついて真剣な面持ちで言葉を俺に投げてきた。
「今日息子をあのオークションに連れて行ったのは、奴の力を試すためでもあった。この梟谷財閥の代名詞は、芸能事務所《Emperor Owl》だ。そこにいる大半の俳優・女優・歌手・アイドル達は私が独断で選んだ人材でそれらは自慢ではないが常に各界のトップに立っている。例えば…」
社長の口から出てくる名前は、本当にここしばらくのTVに花を添えている芸能人ばかりだった。
梟谷財閥はこの社長が2代目で、他者の力を見出すことに長けていないといけないのが、梟谷財閥の・・・木兎家のすべてだという。
そして、次期後継者である木兎もまたその力を開花させ始めていたという。