第25章 生きてほしい
「それじゃ、ちゃんと温まってから出て来いよ。」
『はい…』
2人で一頻り泣いてから黒尾さんはようやくあたしから離れてびしょびしょになったYシャツを脱いだ。お湯の中に沈んでいたカッターもきっちり回収してお風呂場から出て行った。
お風呂で頭を洗って身体洗って洗顔して・・・この洗顔めっちゃ高いやつだ・・・やっぱ黒尾さんも金持ってんだな・・・。と一連のことをやってた時、ふと、黒尾さんの言った言葉が妙に気になった
「お前…!!…俺を…、俺を生かしておいて!!何勝手に死のうとしてんだ!!」
っていう言葉。あれって、あたしが何らかのことをして黒尾さんを生かしたみたいなニュアンスだけど・・・あたしなんかしたっけ?全然心当たりがない
黒尾さんとなんて、この前お店であったのが初めてな気しかしない。なのに、黒尾さんのあの言い方は・・・絶対あたしとどっかでどっかで会った事あるって感じ。それって前に木兎さんに聞いた黒尾さんが殺し屋だったってことと関係あったり?
そうやって考えながらお風呂に浸かっていると、どうも頭がぽやぁ~っとしてきた。・・・って!!のぼせるっての!!いろいろ考えていたらいつの間にかあれから30分くらい経っていた。
のぼせる前にお風呂から上がった。
脱衣所には黒尾さんが用意してくれた服・・・といってもTシャツ1枚だけだったけど、髪と身体をタオルで拭いてからそのTシャツを着てダイニングに入っていく