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いい子悪い子、愛しい子 《ハイキュー!!》

第25章 生きてほしい


シャーーーー・・・


黒尾さんのお風呂場であたしは、シャワーを頭にかぶりながら目に留まった文房具に目を落としてた。よくドラマとかで見るお風呂場で自殺するアレを思いながら・・・


1人で死にたいと思ってしまったあたしには血流が早くなって少しの傷でも失血死してしまうことに対して半分の興味と半分の本気の感情が生まれていた



手にしたソレ・・・カッターナイフをそのまま左手首に当てて切ってしまうのは簡単だ。

でも切ってしまって、もし本当に失血死しちゃったら?
黒尾さんはとにかくびっくりしちゃうだろうし、死んだら悲しいと言ってくれた松川さん、日向や華夜も・・・

今までかかわってくれた人達の顔が頭の中に流れてくるけど、それよりも大きく出てくるのはあの人達の顔・・・
それを思うと、松川さんが治してくれた腕の傷が無性に痛くなる。カッターを持たない左手で傷を触ると、かすかに浮き出た彫タトゥーの感じがよくわかる。


松川さんに彫ってもらったコレの意味を考えると手首を切ることに抵抗できる。でも、あの人達のことを考えるとすぐにでも刃を入れてしまいそうで怖い・・・


死にたいのか死にたくないのか・・・それすら分からなかった


そのせいか、あたしは思い切ってちょっとだけ左手首にシャッとカッターの刃を当ててみた。紙で切ったような細い傷なのに軽く血が溢れてきた。ホントにこんな傷で・・・と思いながらもう少し深く切ってみたくなってカッターを持つ手に力を込めた













「悪ぃ、ボディソープ無かったろ?替え持ってきたからこれ入れ…おい」












力を込めた瞬間、お風呂場の扉が勢いよく開かれて黒尾さんが入ってきた。




あたしは、カッターを隠すことも傷ついた腕を隠すこともできなかった。


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