第25章 生きてほしい
「ほら」
地下駐車場に置かれていた黒尾さんのバイク
椅子の下に入れていたサイズの小さいヘルメットを「ほら」とだけ言ってあたしに手渡す。あたしは、無言でそれを受け取って頭に乗せた。
黒尾さんもトレードマークのトサカ頭をつぶしてヘルメットを被ってバイクのエンジンをふかす。
「乗れ」
今日の黒尾さんが放つ言葉はどれも短い。でも圧がすごい
言う通りにしないといけないというのは、高校生のあたしでも分かった
言われたとおりにバイクの後ろに跨った
黒尾さんは何も言わないけど、振り返ってあたしを見ていた
・・・その意味に気づいてあたしは言われる前に黒尾さんの腰に手を回した
それを確認した黒尾さんがバイクを走らせた。
夜の街がすごいスピードで流れていく
でも前と景色が全然違った。あの時はなんとなく夜でも明るい気がしたのに、今は夜らしい暗さに感じた
その暗さがなんだか怖くて、あたしは黒尾さんの腰に回した腕の力を強めてギュッと抱き着いた。思わずだけどね!?
「・・・。」
黒尾さんは少しこっちを気にした感じがしたけど、何も言わずただひたすらにバイクを走らせていった