第24章 怖い・・・
「…分かったよ、もう何も言わねえしお前の邪魔もしねえ。」
立ち上がって崩れた服を着直して俺はまたソファに座って愛用の煙草に火をつける。バーカウンターにいる金田一が心配そうにこっちを見ているのを横目に確認して、俺はまた及川に目を向けた
「さっき夜琉は家まで送った。軽くケガしてたから手当はしたがそんなにひどくねえからな。」
「…それは、信じていいんだよね?」
俺の言葉を聞いて、及川から殺意が少しだけ消えた
及川もなんだかんだ不安なようだ。ずっと信じていて小さい時から相棒のような存在だった岩泉も今は自分の害になってしまう人間だから
「…あぁ」
「…分かった。…俺、今日は疲れたから最上階使うね。」
そう言って、及川は意外とあっさり俺から手を引いてエレベーターに乗って行ってしまった。
俺は金田一に顎で指示を出した。
それに気が付いた金田一は、設置してある監視カメラの映像を流した。
最上階の部屋は、普段はVIP客専用だから監視カメラは切ってある。それを今だけ起動させた。
映像には、エレベーターから降りてきた及川が映し出された。
及川は、ベッドに着ていたジャケットやネクタイを放り投げてそのままシャワールームに入って行った。
その姿を確認してから、俺はタバコの火を消してソファから立ち上がった
「金田一、及川に動きがあったらすぐに報告しろ。多分もうすぐ迎えが来るからよ」
「はい…あの、松川さん大丈夫ですか?」
「…あぁ、大丈夫だ。あいつはなんだかんだ俺達のことは殺せねえと思うし」
心配する金田一にそう言って、俺は夜琉の待つ医務室に入る。