第23章 狂気の妖怪
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「なんなら、松川君が遊んでくれるの?」
天童は、夜琉から離れるとまた別の短剣を取り出して俺を見る。こいつがサイコだってことは知っていた。国見が持ってくる白鳥沢の情報の中にあったからだ
「…俺は遊んでる暇はないんだけど?」
「それは俺もデスヨ?」
「…じゃあ、すぐに終わらせてやるよ」
俺も久しぶりに本気を出さないといけない相手だということは分かった。岩泉ほど腕っぷしはよくねえけど・・・こういうやつの対処法は知っている
「じゃあ・・・松川君のどこをバッキバキにしてやりますかネ~」
とても楽しそうな天童は、ゆっくり俺に近づいたと思ったら急に俺にとびかかってきた
奴の狙いは確実に俺の腕だ
利き腕を奪ってから確実に俺を甚振っていく算段だろうか
でも俺はそれをよけていく
「ん~、いいね~。その方が殺し甲斐があるね~」
「…お前も、その程度ってことじゃねえのか?」
「…一応白鳥沢に認められた殺しテクなんだけどね~」
尚も俺に向かってくる天童
俺を壁際に追い詰めて短剣を振り下ろしたり払ったり・・・
「…ッ!?」
おっと、うっかり頬をかすめてしまった
天童が払った短剣の切先がかすかに頬に当たって、その切り口から血が垂れた
天童は持っていた短剣に着いた俺の血をまじまじと見つめてからその血を舐めた
「…ん~、松川君の血は及第点ですね~」
「…そりゃどーも」
「もっと味わってもいいヨネ?」
と、今度はまっすぐ短剣を俺に向けて迫ってきた
・・・でも俺はよけなかった
それどころか俺は・・・
「ウッ―――――!!!!」
「わぉ、大胆ですね~松川君」
俺は、天童に左の脇腹をかなり深くまで刺された