第23章 狂気の妖怪
「…フッ、なんてな」
「ん…?」
短剣が刺さった俺は、それを持っていた天童の腕をガッと掴んだ
俺を刺したことにひどく歓喜した天童は、その油断に付け込まれたとやっと気が付いたようだ
「近距離攻撃の奴は、こうするとスズメ捕まえるより簡単に捕えることが、できんだよ!!!」
俺は、腹部に短剣が刺さっているとは思えないくらい機敏な動きで天童の懐に入って鳩尾に一発喰らわせた
低く唸った天童はその場に崩れた
でも、その顔は快楽を与えられた後と同じくらい高揚していた
「…クソ妖怪」
俺は、地面に這いつくばった天童を見下ろしてそう吐き捨てた
天童と一戦終えた俺は、まず国見に連絡した
国見とは、耳に入れたイヤホンから通信できた
「国見、そっちは大丈夫か?」
〈ザザッ…はい、まだ戸美のスナイパー起きませんよ。でも早くしないと、このガキ死にますよ?〉
「分ぁってるよ、車をこっちのビルの下に回しとけ。あと、渡に俺が戻るまでに治療準備しとけって連絡してくれ。普通のとナイフ熱したやつ」
〈…松川さん、やられたんですか?〉
「やられたんじゃねえよ、腹の肉くらい大したことねえって」
〈…じゃあ連絡しときます〉
「あぁ、頼むな」
そこで国見との連絡は止まった
国見もなんだかんだ夜琉を心配しているようで安心した
じゃあ、最後は夜琉だ
まだ死んでないとは思うが、早くしないいけねえよな