第4章 デビュー
目の前にある女子の群れの中心には、見覚えのあるうざった・・・いや、かっこいい顔
女の子たちより明らかに背が高いからよく見える
「ちょ…!!何あの人!ドイケメン!!」
友人もキャーキャー言ってる
確かに昼の世界で見たら余計にかっこいいのが分かる
あの人、なんで夜の世界にいるんだろう・・・
キャーキャーとは言わないけど、彼・・・及川さんを見ていたら目が合った
そしたら、あの笑顔だ
「夜琉ちゃーん♡迎えに来たよ~」
と、あたしに向かって手を振る
周りにいた女の子たちは当然のようにあたしの方に注目する
「えっ?!夜琉あの人と知り合い!?」
ど・・・どうしよう・・・
働いているキャバクラの社長ともホストさんとも言えないし・・・
少ない脳みそをフル回転させて考えた
どうすればこの場を収められるか・・・
「ねえ夜琉!!」
『あぁ、あれいとこのお兄さん。今日うちに泊まるんだけど迎え頼んでたの忘れてた!!』
と、普通の笑顔でごまかしながら及川さんのもとへ走っていく
そして、勢いよく抱き着いて見せた
『徹お兄ちゃん早く帰ろ♪』
「えっ…///俺お兄ちゃ…」
『何照れてんすか…殴りますよ?』
こっちのふりに合わせて下さい
と、みんなに聞こえないくらいの低い声で及川さんを脅す
そしてみんなにバイバイをしながら及川さんの車に乗り込んだ
みんなが見えなくまでこの人はあたしのお兄さんだと主張するように振舞いながら窓からみんなを見る
そしてようやく、学校が見えなくなった