第4章 デビュー
『んで、あんたは何を考えてんすか!!!』
見えなくなったと同時にあたしは及川さんから離れた
及川さんはまだあたしに『お兄ちゃん』って呼ばれたのがうれしいみたい・・・
「何って、お迎え。早く夜琉ちゃんに会いたかったから♡」
『だからって学校まで来るって何なんスカ!?バカなんですか!?バカですよね?!』
思いつく限りの暴言を吐きまくって及川さんをののしる
社長に向かってバカはやめて・・・と、自称社長は少ししょぼんとするけど、あたしはさらに言葉をつづる
『ってか、なんであたしの学校知ってんすか?!』
「昨日夜琉ちゃんがマッキーとイチャコラしてる時に、まっつんが君の生徒手帳をちょっと拝見したみたいで」
『・・・あなた達は、プライバシーという言葉をご存じないんですか?』
と、さすがに呆れてきたから学校に来たことの話はもうやめた
『あの、これからお店に?』
「うん、夜琉ちゃん今日はデビューだからね。ちょっと歓迎会でも軽くやろうかと」
と、スマホを確認しながら及川さんは言う
でも、あたし制服ですけど?と、紺色のブレザーに赤いリボンの地味な制服を見ながら及川さんに尋ねた
「あぁ、大丈夫だよ。もう用意できてるって」
『へ…?何が?』
「着いてからのお楽しみ。じゃあ狂犬ちゃん、お願いね」
と、軽く身を乗り出して運転手さんに一言言った
運転手さんからは、軽く舌打ちのような音が聞こえたような気が・・・及川さん、嫌われてんのか?
と、思いながら運転席のバックミラーを見ると、運転手さんと目が合った
この人・・・なんか怖そう。柄が悪いし・・・
じっと見ていると、運転手さんは顔を赤くして視線をそらした
・・・意外と可愛い