第21章 蛇と妖怪と王様と
「・・・お前、なんでそんなことしてんの?白鳥沢の人間なら嫌でも人殺したりするだろ?」
「ん~、それじゃ俺が気持ちよくないんだよね~。戦う気満々の奴殺すよりも戦う気なくて怯えてる奴を解剖するの大好き♡命乞いする奴は特にね」
「悪趣味だな・・・、あの夜王が言ってた女もそうするつもりか?」
「あぁ~あの子ね、夜琉ちゃん」
男の頭部を割いて出てきた脳をナイフで滅多刺ししながらその名をつぶやく
天川夜琉
初めて会ったのは梟谷の社長のパーティで
そこに彼女が来るという情報は白布から聞いていたから牛島率いる白鳥沢は彼女に害を与えないという総帥の命令の下彼女と接触した
しかし天童はその命令を無視し、彼女を傷つけた挙句花街の夜王及川徹に奪い取られてしまい今は謹慎状態になっていた
だが、天童自身はそんなことを気にもしていなかった
ただ気になっているのは、彼女のことだけ
及川や牛島のように彼女自身が必要というわけでは決してない
ただ単に・・・
「あの子の血がおいしかったの」
「はぁ?」
「彼女のね、ほっぺた切った時に付いた血がね、今までに味わった中で一番おいしかったの…。それが忘れられないからね、あの子を手に入れたら死なない程度に動脈抉ってそのまま血液直飲みしたいな~って」
「…お前、カニバリズムか?」
「違うよ~、解剖が好きなだけデスよ♡」
くるりと振り返った天童は、顔中に返り血を浴びた笑顔を細めの男を見た
その笑顔にさすがに寒気が走った