第20章 悪い子は、光の中で・・・
「おーい、チビちゃんいるか?」
「あっ…黒尾さん…」
日向と話をしていたら、黒尾さんが皆さんと一緒に部屋に入ってきた。いつの間にか、赤葦さんもいた
「どした?」
「いや…夜琉が…」
『・・・。』
「…夜琉、言いたいことがあるなら言え」
『・・・黒尾さんは、なんであたしなんかを?』
「・・・。」
黒尾さんが元殺し屋なのは分かったから聞いてみたくなった
後ろの人達は、何も言わない。木兎さんだけが知っているのかは分からないけど・・・
「・・・悪い、まだ言えない」
『…じゃ帰ります。』
「ダメだ!」
アイを抱いたまま部屋を出ようとしたところを黒尾さんに腕を掴まれて止められた
『じゃあ話してください』
「・・・ッ。」
「話してやれば?」
さらに言葉を飛ばしてきたのは木兎さんだ
木兎さんはあたしの腕を掴む黒尾さんの手を持ってあたしから手を離すように促した
でも黒尾さんはやっぱり言えないみたい
そこであたしは、さらに悪い子モードをつづけた
『…あたし、そんな人に命預けたくないです。帰っていいですよね?』
・・・・・・。
誰も何も言わなかった・・・
『…行こうか、アイ』
あたしは、その場に居たくなくなり愛猫を抱いて木兎さんのおうちを出た
・・・悪い子モードはここで終わり
あたしはさっき日向には、全部言いたいことを言った
・・・みんなに迷惑かけたくない
白布さんみたいに、ケガさせたくない
あたし、別に及川さんも岩泉さんも恨んでないから・・・
でも、怖い・・・いつかはあの人に殺されるんじゃないかって・・・
それに・・・黒尾さんって元殺し屋でしょ?
黒尾さんにも、殺されるんじゃないかって・・・それで、怖くて・・・
日向、今からあたし黒尾さんにホントのこと聞くから…それで黒尾さんが何も言ってくれなかったら…
あたし、ここから出るから…って
あたしは、やっぱりあたしのままだった
裏の世界じゃなくても、こんなにも輝かしい人達の中でも・・・素直になれない悪い子だった