第20章 悪い子は、光の中で・・・
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「黒尾…、なんか…悪かったな」
呆然と立ち尽くす俺の後ろから木兎の声がした
その前に、木兎は部屋から出て行った夜琉を追うように赤葦に行っていた
チビちゃ…日向は必死で俺に頭を下げている
俺が変なこと言っちゃったせいで・・・っていうけど、一番悪いのは俺だ・・・
木兎のバカが俺の素性をばらさなくても、いつかはあいつに言わないとと思ってた。
・・・でも、
俺があいつを守りたい理由を知ってしまったら、あいつは俺のことを嫌いになるかもしれない・・・軽蔑するかもしれない・・・
それが何より怖い・・・
俺は今までそれだけを糧に生きてきてしまったから、今更それがなくなったら・・・
「黒尾さんって実はヘタレですよね」
「…今なんつった?」
俺にそんなことを言えるのなんて木兎しかいないのに、そんなことを言ってきたのはあたのクソ生意気な金の王子
俺は、この金と銀の王子と日向を主に見ているマネージャーだがみんな俺が年上なのを気にして中々文句は言わない
でもこいつ…、月島蛍はそういうことを平然と言ってくる
「ヘタレだといったんです。あの女にそこまで怯えなくていいと思うんですが…」
「…怯えるに決まってんだろ、だって俺は元殺し屋だ。たくさんの人間を殺してきたんだ…。嫌われたら…俺は…」
「…それがヘタレだって言うんですよ。」
うちの大事なモデルの顔に傷を付けそうな勢いだったが、俺は何とか踏みとどまって飛びかけていたこぶしは俺の太ももに命中した
「どういう意味だ…」
「あの女、自分が殺されそうなのに及川や岩泉さんを信じるっていうバカな女なんですよね?そんな女なら、黒尾さんが殺し屋でもひいたりしないと思う」
部屋に入ってきた月島は、恋人である日向の服を正しながら俺の言葉に返事を返す
確かにそうだが・・・それだけじゃねえんだよ・・・
俺はアイツに・・・してはいけないことをしようとしたんだ