第20章 悪い子は、光の中で・・・
「ほい、できたぞ」
『わーい♡』
黒尾さんが持ってきてくれたフレンチトーストはすごくおいしそうだった。お店に出せるんじゃねえか!?というレベルです
『いただきま~す♡んんッ!?めっちゃおいしい!!えっ、黒尾さん天才ですか?!』
「俺が天才なのは、いつものことです」
黒尾さんにそうやって言っておきながらあたしは黒尾さんガン無視でフレンチトーストを食べていく
分厚いフレンチトーストが3枚積み重なっていたのに、それはあっという間にあたしの胃の中に消えて行った
『ふぁ~、おいしかった♡』
「おそまつさん…んじゃ、飯食ったらそろそろ行くぞ」
『ん…行くって?』
「岩泉に言われたからな、お前を匿うために戦力を集めに行く」
『戦力って、どこに?』
「…イイトコ。ついでに俺も仕事だしな。行くぞ」
と言って、黒尾さんは空になったお皿を持ってキッチンに入った。水の流れる音がしたらまた戻ってきてソファに置いてあったカバンとジャケットを持った
黒尾さんのイイトコほど怖いものはない・・・
「ほら行くぞ、大丈夫だ。お前の知り合いのとこだからよ」
そういうと黒尾さんはあたしに小さなヘルメットを放り投げて渡してきた
『あの…ホントどこ行くんですか?』
「いいからついて来い」
そのまま出て行ってしまった
あたしは、どうしたらいいか分からないからあわてて後を追った。でも黒尾さんは玄関先で立ち止まってた
あたしは勢いよく飛び出し過ぎて立ち止まっていた黒尾さんの身体にダイブした
でも黒尾さんは、そんなあたしをダイブした勢いのまま抱きしめた
『・・・?あの…』
「・・・ごめん、10秒だけ」
最初は腰に手を回してただけだったけど、残り8秒くらいで肩まで手を回してきた
そのたった8秒は、あたしの心を少しだけ安心させてくれた