第19章 動き出す
「…答えて岩ちゃん、夜琉ちゃんはどこ?」
「知らねえ」
「・・・!!」
及川は、最初こそ平常を保っていたが岩泉のそんなそっけない返しについに逆上した
岩泉のYシャツを掴みそのまま壁に押し当てた
「もう一度聞くよ、夜琉ちゃんはどこ?」
「…知らねえ、もう俺達には関係のないことだ」
「…まさか、白鳥沢じゃないよね?」
「それはねえよ」
「なんで言わないの?ねえ…」
「…お前にそろそろ大人になってもらうためだ」
「は?」
岩泉は、自分のシャツを掴んでいる及川の手を掴んで及川よりもさらに強い目で睨み返した
「お前、いつまでこんなこと続ける気だ。紫乃さんの残した意思を何テメエの手で殺そうとしてんだ!!」
「…俺は紫乃さんが大切なんだ。夜琉ちゃんじゃない。だから、俺は紫乃さんを殺した白鳥沢が…牛島が許せないんだよ!!岩ちゃんなら…岩ちゃんなら分かってくれるって思ってたのに…」
「分からねえよ、大恩人の子を平気で殺そうとするお前の気持ちなんて…」
「…もう岩ちゃんなんて知らない!!」
及川は、そういって本社室から出て行ってしまった
岩泉は、ため息をつきながらネクタイを緩めてソファに座った
「…ったくあいつは」
「あの…岩泉さん、すみません」
「…いいよ、悪かったな国見。」
「あの…及川さんは…どこに…」
「知らねえよ、ほっとけ。それより金田一、国見のケガ治してやれ」
「あっ、はい!!」
金田一は国見を別の部屋に連れて行った