第19章 動き出す
ガッ!!
「うっ…」
「国見!!」
青城の本社室で、及川が国見を殴った
殴られた国見は、置いてあったテーブルの角に頭を打ってしまった
「及川!!何も殴らなくても…」
「まっつんは黙ってて。国見ちゃん、どうして失敗したの?」
「…すみません」
「すみませんじゃないよ、君は仮にも元殺し屋でしょ?失敗なんてありえないでしょ?」
「・・・。」
倒れた国見の顎を掴みながら及川はさらに言葉をつづける
「これで夜琉ちゃんが逃げちゃったらどうするつもり?ねぇ、俺に殺される覚悟は…できてるの?」
顎を掴んでいた及川の手は、徐々に力を強めていき国見は痛みで顔を歪めた。松川も花巻もこうなった及川は止められないことを知っていたから何もできなかった。国見の相棒であり親友の金田一だけは、涙ながらに及川に懇願していた
すると、
ポーン・・・
エレベーターの音が鳴った
全員の視線がそちらへ向くとゆっくり開いた扉の中から岩泉が出てきた
「…岩ちゃん」
「…何してんだテメエ、国見を今すぐ離せ」
岩泉のその一言で及川は素直に国見から手を離した
国見は、頭から血を流し掴まれた顎を抑えてせき込んでいた
「…岩ちゃん、夜琉ちゃんは?」
「…知らねえ、だが…これを預かった」
「…誰に?」
「本人だ」
と、岩泉が及川に手渡した辞職願という文字が書かれた白い封筒
及川は、それが夜琉からのモノだとすぐに気が付き封筒を中身を見ずに破り去ってしまった