第18章 岩泉の願い
「お待たせ。ほら、熱いから気ぃ付けろよ」
『あっ…ありがとうございます…』
ネコを撫でていたら、黒尾さんが可愛いマグカップを持って戻ってきた。
マグカップからは、ココアの甘くて暖かい湯気が出ていて、あたしはフー…と息を吹きかけてゆっくり飲んだ
『…あっ、おいしい…』
「当たり前だ、研磨がコレがいいって買ったすげえ高いココアなんだからな」
と、あたしの隣に座ってココアのカップに口を付けていた
あたしも、温かいココアを飲むけど・・・
「…お前、手ぇ震えてんぞ?」
『・・・。』
白いネコの描かれた可愛いマグカップの中のココアがゆらゆらと揺れていた
「・・・はぁ」
黒尾さんは、何も言わないあたしを見かねたのか自分の持っているカップを置いて、あたしからもマグカップを取り上げてソファの前に置いてあったテーブルの上に置いた
すると、黒尾さんはあたしの肩を抱き寄せてあたしの顔を自身の胸に押し当てるように抱きしめた
「…お前がそんななの、らしくねえよ。…俺でいいなら、全部吐いてみろ」
とても優しい声だった
黒尾さんの心臓の音がよく聞こえてきた。
それが、もらった高いココアよりも温かくて・・・
『…うっ…ふぇ……、ひくっ…ふぇぇ…』
目の周りが急に熱くなって、こらえていたものが全部流れ出てきた