第18章 岩泉の願い
「ほら、コレ被れ」
黒尾さんに渡されたのは、ヘルメット
黒尾さんは車じゃなくてバイクだから道交法に引っかからないようにかぶれと言ってきた
「じゃあ行くぞ」
『…安全運転でお願いします』
「・・・あぁ、しっかりつかまってろよ」
と、黒尾さんはバイクのエンジンをかけてバイクを走らせた
あたしは、黒尾さんの上着を掴んで流れる景色を見ていた
『・・・。』
「おい…、ちゃんと持ってろ」
黒尾さんは振り返らずあたしの手を自分の身体に巻いた
あたしは腕を引っ張られて黒尾さんの背中に顔が当たった
「そのまま顔隠してろ、誰かに見られてたら困る」
バイクの音と風の音でよく聞こえなかったけど黒尾さんがそのままでいいって感じのことを言ってたのは分かったからそのままでいた
しばらくして、バイクはマンションの前で止まった
及川さんのおうちほどではないけど、かなり大きなマンションだった
黒尾さんはバイクを駐輪場に置きに行って戻ってきた
何も言わないけど、その背中は黙ってついて来いと言ってた
黒尾さんのお家は、4階のフロアの奥だった
「…とりあえず、風呂にでも入るか?」
『いえ…寝たいです』
「そうか、じゃあ俺の部屋貸してやる」
『…あたし、ソファでいいです』
「俺仕事あるからいい」
と、そこの部屋だからと言って黒尾さんはリビングに入っていった
冷たいな・・・と思いつつも黒尾さんの部屋に入った
黒尾さんの部屋は、何にもなかった・・・いや、言い方が悪かった・・・シンプルだった
黒を基調にしてて、それとなぜかバレーグッズが多い
とりあえずあたしは、黒尾さんのベッドにダイブした
とりあえずあたしは、横になりたかった