第18章 岩泉の願い
「よし、これは俺が及川に渡しとく。そしてあとの問題は黒尾、お前に協力してもらう」
「なんだよ、俺は面倒ごとはごめんだぜ?」
「…夜琉を連れて逃げてくれないか?」
岩泉さんが黒尾さんを真剣な目で見ていた
・・・逃げるとは?
「…逃げるってなんだよ。」
「及川に見つからないように、お前が夜琉を匿っててほしいってことだ」
「…お前らに殺させねえとは言ったが、匿って逃げてお前らのとこに命狙われるのはまっぴらだぞ?」
「だから狙われねえようにしてくれって言ってんだよ。バカネコが」
「もういっぺん言ってみろよオイ!!」
『喧嘩しないでください!!』
どんだけ子供よ!!この大人2人!!
なんで話も素直にまとめられないの?マジでバカなのかな?
「はぁ…、だから俺はもう夜琉には近づかないし関わらないから、それ以降お前がこいつを守ってほしい」
「…お前に言われなくても…」
「ただ守るんじゃダメなんだ…ずっと、こいつのそばにいてやってほしい」
「…お前は、こいつの保護者かよ」
あまりに岩泉さんがあたしのことを思っているからか、黒尾さんがそんな質問をした
岩泉さんは少し黙ったけど、すぐ黒尾さんを見つめた
「俺は…、俺がこいつを生かしたいんだ。俺達の恩人の紫乃さんの娘を見殺しになんてしたくねえし。俺は保護者じゃねえ、けど…こいつには、生きててほしい」
「・・・ッ!!」
岩泉さんのその一言で黒尾さんの顔つきが変わった
なにか、確信を突かれたような・・・