第18章 岩泉の願い
「それは俺が許さねえよ?」
と、話の腰を折ったのは黒尾さんだった
黒尾さんはあたしの肩をグッと寄せた。バランスを失ったあたしは黒尾さんに寄りかかるように倒れた
「俺は、お前らなんかにこいつは殺させねえって啖呵切ったんだ。お前をもうあそこにはいさせない」
『いや、黒尾さん…?』
「…俺もそのつもりだ。もう夜琉をうちには置いとかないように…俺なりに準備はした。でも、まだ足りねえんだ」
「準備ってなんだよ」
「まず・・・」
と、岩泉さんが取り出したのは・・・
『あたしのスマホ!?』
「お前ラーメン屋置いてたろ?その時掏った」
『掏らないでくださいよ!!』
と、取り上げようとしたら素直に岩泉さんは返してくれた
「その中に入ってた青城の関係者のアドレスとか、全部着信拒否して削除しといたから」
返された時にそうやって告げられた
確認すると、確かにない。及川さんや花巻さんの・・・もちろん岩泉さんのも
『・・・。』
「それからこれ」
次に取り出したのは《辞表届》と書かれたもの
きっと、あそこの仕事を辞めるためのモノ
「だいたいは俺が書いた。あとはお前の直筆のサインと印鑑だけだ。」
『…。どうしても…ですか?』
「…どうしてもだ」
あたしは岩泉さんに上目遣いを決め込むけど効果は全くない様だ
仕方なく、あたしは自分のカバンに入れていたペンと印鑑を出して辞表を書いていく。・・・辞表ってこんななんだ・・・