第17章 天国と地獄

「紫乃さん…なんであいつらを…行かせたんですか？」


「…彼らは、白鳥沢の新人…あんたたちと年は同じだよ。きっと…あのクソおやじに…あたしを殺せって言ったんだろうね…特にあの子…若利はずっと次の総帥として…」


「そんなのどうでもいいよ!!なんであいつらはいいのに俺達はダメなの？」


「…貴方達には…、正しい道を…生きてほしいから…」


紫乃さんは、いつまでも納得しないトオルの頬を血で汚れた手で撫でた


「…正しい道って何？大事な人が殺されても黙ってみてること？」


「…それは分からないよ。あたしだって…自分が進んでる道が…正しいかなんてッ…ｹﾎｯ…分かんないから…でも、人に胸を張っていられることが…正しいんじゃないかな…」


「・・・。」


トオルはそれ以上は何も言わなくなった
でも納得なんて絶対してないと思う。だって、また目が殺意の色だから・・・


「…ごめんね、みんな…」


「紫乃さんは、悪くないですよ。俺達をすくってくれて…ッ…だから、生きて…くださいよ…」


いつもは冷静な松川ですら泣いているせいで言葉が途切れていた
花巻はずっと発狂していて紫乃さんの名を呼び続けていた


「大丈夫…ッだよ…、みんなは……」


と、弱々しい目で俺達全員を見た
そして・・・最後に・・・



「ねぇ…最後に…聞いて」



と、そっと囁いた