第17章 天国と地獄
涙目の花巻に支えられて紫乃さんは息を荒くしてトオルを見ていた
「言ったでしょ…恨まないでって…」
「でも…紫乃さん!!」
「いいから…」
苦しんでる紫乃さんの目には、銃を持っているあいつ
顔色1つ変えていないそいつだが、よく見ると持っている拳銃が揺れていた
「…行きなさい」
そう言って紫乃さんは、2人を行かせようとした
でも、トオルはそれをさせなかった
「待てよ!!」
「トオル、いいから…」
「いいわけないじゃないですか!!紫乃さんなんで…」
トオルが紫乃さんに詰め寄っている間に2人は窓から外に出て行った。トオルはその2人を追おうとしたけど、その時に紫乃さんがせき込んで血を吐き出したせいで動きを止めた
「紫乃さん!!」
「今警察と救急車に連絡した、とりあえず止血しないと…」
「いいよ…しなくて」
「でもしないと…!!」
「たぶん…もう…、ダメだと思うから…」
力なく抑えていた腹から手を離すと、服が赤黒くなるくらい血が出ていた。心臓に近いところだから・・・
「紫乃さん、まだ大丈夫だよね?死なないよね?」
「うん…わかんない…、ちょ…、っとヤバいかな…」
血を吐いてても、紫乃さんは笑顔を崩さない
苦しくて痛くて・・・死にそうなくらいのはずなのに・・・