第17章 天国と地獄
そういったのはトオルだった
いつの間にか部屋を出て、紫乃と並んでおじさんの前に立っていた
5年の間に紫乃さんの背丈を抜いていたトオルは、紫乃さんの肩に手を置いていた
「・・・お前は」
「紫乃さんの家族だ。紫乃さんを傷つける奴は、俺達が許さない」
「…分かったら帰れ」
トオルに続くように俺達4人も紫乃さんの隣に立った
その集団をよく見ると、同学年くらいの奴が2人いた
始終冷めた目をしている男と、赤髪の男。その2人はおじさんの後ろから俺達を見ていた
「…あたしたちは、あんたのとこになんか負けないから。さっさと帰れ!!」
紫乃さんがまた一喝した
おじさんは、それでも引き下がろうとはしなかった
でもため息を1つついてくるりと向きを変えた
「…出直すぞ。お前ら」
そう言って部下たちを外に命令した
「紫乃、これで終わると思うなよ」
おじさんは、振り返らずにそう言った
でも紫乃さんは平気そうだった
おじさんが家を出て行ったことを確認すると、紫乃さんはやっと安心したようだった
「ふぅ、あんたたちありがと。あたしを助けてくれて」
「別に普通ですよ。」
「そうですよ、当然です」
「・・・よし、そろそろ朝ごはんか?早く学校の準備してらっしゃい」
と言って、俺達をまた部屋へと戻した
俺達は安心して部屋に戻ってしまった
「今日の朝ごはんなんだろ」
「俺今日はパンの気分」
「俺はご飯だな」
と、制服に着替えながら話をしていた
すると・・・
パァン!!!!
大きな音が、家中に響いた
隣の小学生の高学年組が寝ている部屋から子供たちが起きる音がした
俺達は、4人とも顔を真っ青にしながら音の方へ向かった
その音は、紫乃さんが入って行ったダイニングからだったから・・・