第16章 幸せな時間
その日の夜、俺達4人は紫乃さんのもとに行った
「どーした、お前たち。揃いも揃って」
「…紫乃さん。教えてください、夜琉をなんで…」
「天川さんが、子供をつくれないからってだけじゃないですよね」
俺達より事情を知っている花巻と松川が問いかける
紫乃は、ちょっと黙ってからはぁ…と息を吐いた
「…分かったよ、あんたらには話してあげる」
そして、紫乃さんはすべてを話してくれた
「…みんなには隠してたけど、あたしは・・・白鳥沢組の総帥、鷲匠鍛治の1人娘なの」
「…ソースってなんだ?」
「総帥、組織全体を指揮する人。つまり一番偉い人」
松川にツッコまれたけど、俺とトオルはいい気がしなかった
たとえ紫乃さんでも、俺達のもとの仲間を・・・
「トオルとハジメには、黙ってて申し訳ないと思ってるよ。でも、あいつがしていることとあたしは、関係ない」
「…それは、信じていいんですか?」
「うん」
「…じゃあ、信じます。」
「ありがとう、それで、あたしはあいつのやり方がどうしても許せなくて20歳で家を出たの。それでその3年後、ここをつくったの。あいつのやっていることを全否定する意味で子供を助ける保護施設をね。」
紫乃さんは、さらに言葉をつづけた
「そして、あたしは夜琉を生んだの。昔からの幼馴染の男とね。でも、血縁があたししかいないから、跡取りの子供がいると分かったらあいつらは絶対あの子に危害を加えると思ったの。だから丁度子供が欲しいけどつくれない朝沙に託したの」