第16章 幸せな時間
次の日、俺が目を覚ますと花巻と松川が服に着替えていた
「…おはよ」
「・・・。(ペコッ)」
「あぁ…おはよ」
花巻は相変わらずだった
松川は、何とか話はしてくれるけど・・・
すると、ほぼ同時くらいに紫乃さんの声
「お、今日もちゃんと起きたな。」
「おはようございます。紫乃さん。」
「…おはようございます」
紫乃さんは、俺達の部屋に入ってきた
そして、俺のベッドを覗く
「起きてるか、お前ら。朝ごはんだぞ」
とだけ言ってまた部屋を出て行った
紫乃さんからうっすら香った甘いにおい・・・それを嗅いだら無性にお腹がすいた
「…おい、トオル。起きろ」
「んん…まだ寝る~」
「起きろってんだよ!!!」
と、俺はこぶしをくらわす
痛い!!といいながらトオルは跳ね起きた
俺達に用意されたセーターはまた小奇麗なものだった
それに着替えて昨日のダイニングに入る
テーブルに並べられていたのはホットケーキだった
俺達はまた松川達が座っているところに座る
すると、俺は花巻のホットケーキが目に入った
細いチョコペンで熱心に絵を描いていた
「すごーい!君絵上手だね!!」
と、トオルは何の躊躇もなく花巻に話しかけた
花巻は、とても驚いていた
「ねえねえ、俺にも書いて!!」
トオルは自分用のホットケーキを差し出す
少し戸惑っていた花巻は、それでもコクンとうなずいてペンで絵を描き始めた
「そんなにチョコかけたら甘くならないか?」
と、松川がツッコミを入れるが・・・
「「甘い方がおいしい」」
と、トオルと花巻が口を揃えて言った
2人は思わず顔を見合わせた
でも、それがあまりにおかしかったから2人とも声を出して笑い始めた
それが、初めて見た花巻の笑顔だった