第15章 地獄と天国
ずっと降っていた雨は、いつの間にか雪になっていた
俺とトオルはつぶれた俺達の塒から古着屋のおばちゃんにもらった毛布に包まって寒さを凌いでいたけど、雨に濡れた身体と毛布とでは温まるわけもなく、2人ずっと凍えていた
トオルには、ちゃんと白鳥沢のことを話した
あれらは、各地のスラムから若い子供を攫ってどこか遠くに国に売ったりしているらしいと・・・
この前のアレは、ココのスラムには何人子供がいるかという確認
だったかもしれないということも・・・
「…は…ハジメちゃ…、寒いね……。」
「はぁ…寒くねえし…」
強がってはいたけど、半袖の俺はもう手や足の先の感覚はほぼなくなっていた
「ハジメ…ちゃ…俺、なんか…」
トオルが小さくつぶやいたと思ったら、トオルは俺の肩に倒れてきた。
「トオル…おい、重い…」
トオルの頭を押して戻そうとした時、俺はトオルの異変に気が付いた。トオルの息が上がってる・・・身体が・・・異常に熱い・・・
「・・・トオル!!!」
俺は、子供の頭でもやばいということが分かった
自分の毛布を奴にかけて走った
雪が積もり始めたスラムの中を駆け抜けて花街を目指した
ダメもとであそこにいる大人に助けを・・・
「うっ…!!」
でも、俺の足は限界だった
冷たくて、痛くて、動かなくなっていた
「うっ…だれ…か…」
俺は地面を這ってでも誰かに伝えたいと・・・
トオルを・・・助けたい・・・と
でも、俺は・・・そこで意識を失った