第15章 地獄と天国
それから、しばらくして季節は冬・・・
その日は、寒い曇り空で今にも雨や雪が降りそうだった
「おい、今日は雨が降りそうだからやめとこうぜ」
「えぇ、でも明日でお洋服のセール終わっちゃうから行かないとダメだよ!!」
「俺はこのままで平気だけどな」
「ハジメちゃんはいい加減その読めない漢字のTシャツやめてよ!!」
トオルは最近、花街とスラムの間の道にある古着屋のおばちゃんと仲良くなったみたいで金ができれば服を買っていた
俺が今着ているTシャツもそこで買ったんだけど〈根性論〉って書いてあるかっこいいやつ
及川にはやめろって言われておばちゃんには笑われたけど・・・なんでだ?
「雨降ったらめんどくせえんだから行くのやめようぜ」
「まだ降ってないから大丈夫だよー!行こうよ!!」
「…ったく」
結局俺が折れてしぶしぶトオルに着いてくことにした
他の奴らは大人も子供も雨が降りそうだからと自分たちの塒で寝ていた
俺達は、真っ黒な雲が空を覆っている中いつもの川辺にいた
「ハジメちゃん、今日は負けないよ!!」
「お前が俺に勝てるわけねえだろ。」
と、川辺を見下ろす高台に立って周りを見渡す
鉄くずや壊れたものの残骸がそこら中に残っていた
「…じゃあ、行くよ」
「おぉ」
と、いつもの宝探し勝負が始まった